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人を生化学の側面から見ると・・

人を見る(診る、観る)にあたって、

カイロ的には、構造(ストラクチャー)・化学(ケミカル)・精神(メンタル)を考えます。

これについて別の表現をすれば、

物理学、生物化学(生化学)、心理学などと言えるのかもしれません。

また、これら以前に物事の根本や本質を考える学問として哲学もあります。

ここら辺りに関しては、哲学から自然科学が独立発達し今に至ると言える面もあります。

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生化学的なところから体をすこし考察してみます。

生化学的に人の体をみた場合、

水分量、

PH(人の体は7.365の弱アルカリ)、

塩分その他の濃度(たとえば体液は約0.85%の塩分濃度)を評価することができます。

・水分量・・・神経系の適切な伝達は、結合組織(おもにファッシアを考える)の水分含有量に左右されます。
とくに感覚神経がそれに依存しています。
もし、結合組織が脱水に陥ると筋骨格系や神経系を適切に支持できなくなり、痛み信号として警告を出します。
脱水に関して、口から入れる水の量の問題のほかに、運動などによる過度の圧縮や伸長、摩擦なども原因になります。
ただし、結合組織はトリートメントしやすいという面もあります。
ちなみに、慢性の関節痛などは筋肉の異常を何とかしようとしたくなるのですが、
その背景に結合組織の問題(による関節軸のわずかなずれなど)があります。
で、私なら筋肉の前にこの部分を評価~施術します。
そして、ふつうはそのレベルで痛みがとれます。
もし取りきれない場合は、筋肉に対する施術をします。
内臓体性反射、
中枢神経系、
椎間孔、
神経リンパ、
トリガーポイントなど筋肉の異常がどこ由来か?
もちろんテンションラインなどバイオメカ的な考察も。

トレーニングやエクササイズをしてもらうこともありますが、通常は神経系に作用させるようなエクササイズをまず考えます。
その次に筋肉へのエクササイズ、トレーニングを考えます。
筋肉が弱いから痛みとおいうより、筋肉が機能できない何かがあるから弱化をきたしているという発想です。
だから、まずはその原因探しとその修正を考えます。

人は尿、汗、呼気などから数リットルの水分を出します。

1日の食事で1リットルの水分を摂取するとしても、
成人48キロの人で1.6リットルの水分を口から摂取する必要があります。

もちろん、ひとそれぞれの活動量の違いがありますので一概には言えません。

また、東洋医学的には水毒といわれる水分過剰も注意が必要で、そういった場合、舌の横がギザギザになっています。


・PH(ペーハー)はホメオスタシスがあるのでそれほど変化しないでしょうが、
食事などによっては酸性に、アルカリ性に傾きます。

たとえば、ベジタリアンでは腸管のPHの問題が出たりします。
あるいは肉食過多で酸性になっているケースなど。

このようなことが原因で、
めまい・動悸・頭痛・右の首肩の痛み・耳鳴り・吐き気などの一見原因のよく分からない症状を引き起こすことがあります。

これは臨床でたびたび見られ、患者は耳鼻科、内科、循環器科に行かれているのですが、病院的には異常なし。

また体液の貯留が発生しているため、椎間板ヘルニアや手根管症候群の背景になっているのではと、うかがわせることがあります。

治療としては、アルコール、カフェイン、香辛料その他を避ける、経絡、チャップマン反射、頭蓋、その他。


・塩分などに関して・・・たとえば、学校に行けない子供で、朝起きれないというケースがあります。
起立性障害などの診断が出ている場合が多いですが、
鑑別によって塩分を少し多めにあるいは、かなり多めに摂ってもらうことで回復へ向かいます。

ミネラルの一つ鉄(Fe)不足は、現代人に多いと思われますが、
神経伝達物質の合成を妨げるなどの面が出れば、うつや不眠につながります。

また発達障害や自閉症の子供にも鉄不足が頻繁に見られます。
ただし、短絡的に鉄剤投与すればよいというわけではありません。適切なステップを踏む必要があります。

子供に関していえば、
運動神経発達の遅延、
疲れやすい、
朝起きれない、
集中力低下、
かかとやひざなどの成長痛のひとつの原因に鉄の不足があったりします。

人の体の見方(診方、観方)

体をどう言った観点でみるか?

セラピスト、施術者、臨床家・・・は、それぞれの仕事の中で、

研究者でなければ、それぞれのビジネスのなかで

便宜上 守備範囲を決めてみることになります。

それでも個人的には、なるべくひろく深くクライアントの身体を理解して、

クライアントの現在あるいは将来のいくつかの問題解決に携われればと考えます。

個人的には、考え方として、次のようなものの視点を持ちたいと思っています。

物理学・・・人は重量のもとで生きている。外傷などで関節の軸がミリ単位でくるっている。ファッシアなどによるテンションライン(緊張して硬くなっているようなルート)の形成。その他さまざま。


生化学(生物化学)・・・ひとは従属栄養生物です。必須アミノ酸とか必須脂肪酸などと体の中で栄養を合成できないものがたくさんあります。
で、口から入れる栄養素の過不足で、体調不良を起こしやすい。

この場合、物理的にボディワーク、手技などしても効果が得られないことが考えられます。

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こういったいくつかの視点から、科学的に人の体をとらえる事が出来ます。


また、心と体は表裏一体なところがあり、心の問題が体に投影されていることがあるので、心理学も必要な場面があります。

あるいは、哲学を知っていると、物事の判断や考え方における間違いをかなり排除できるものです。

まず、こういったベースを持ちつつ、そこから基礎医学や専門の分野の理論・技術を運用すれば、大きな方向性の間違いは出ないものです。

逆に、自分の専門の理論技術だけでクライアントの身体をみると、多くの場合うまく解決できないということが起こりそうです。

「閃く経絡」の訳者建部先生の勉強会


「閃く経絡」の訳者、京都府立医科大学の建部先生の勉強会がありました。

とても貴重な情報をたくさんいただくことが出来ました。

本書のプロローグは公開されているようなので、気になったところを書いてみます。

○六歳以下の子供では、指先の切断は瘢痕もなく完全再生する!

○生物の電気勾配の電流は一定で流れていて頭部では陰性荷電に傾いている。
しかし、肢の切断後は切断部での電気極性が反転する。
この反転が肢の再生を引き起こしている(赤血球の脱分化が起こり幹細胞のようなことになる)。

○通常の神経は交流電流であるが、この時は直流電流になっていて、これは鍼灸の氣と呼ばれるものではないか。
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ファッシアに関して昨年、結合組織が体液で満たされ相互で連絡し合う全身のネットワークであるという論文が出された。

つまりファッシアを器官と捉えることができるというのです。

しかし、それは死体解剖では無くなっていて分からない。

もしかしたら仙腸関節の動く動かないの議論もこういったことが背景にあるのかもと思いました。

先生は常に情報のアップデートの必要性を訴えられておられました。

○ファッシアの訳はふつう「筋膜」ですが、
一般の人が読んだ場合、筋肉の膜としか捉えられなくて、
内臓などの膜(例えば腎臓を包むジェロタ筋膜など)はイメージできないだろうから
訳としてはあえてファッシアとそのまま残したとのこと。

そのほかにも翻訳に関しての苦労話など聞けて、とても楽しい勉強会でした。

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カイロにも経絡治療の分野があります。

中国で数千年も前から培われてきた鍼灸の理論に西洋医学的な説明が付け加えられようとしている。

あるカイロの先生は経絡がすごく効く場合があるとおっしゃられていました。

またこれを機会に経絡治療を見直してみようと思いました。

からだのみかた・・・呼吸

人の体の見方について考えた時、枝葉と幹をどうとらえるか?

個人的には、物理学、化学、生物といったところから考えます。

そして、考え方に関しては、哲学も必要と思えますし、

心の問題も出てくるはずなので心理学も必要と思います。

そういったところを見方の幹として、枝葉に筋骨格系はどうのこうの・・・という話が来るのだと捉えます。
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そのなかで、呼吸の問題は、

ケミカルな化学あるいは生物のはなしも、

肋骨や胸椎、横隔膜などの筋骨格系のはなしも出てきますので、

幹と枝葉と両方にかかわる重要な領域だと思います。

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○1回450ml程度の空気を1分間に12~14回呼吸(=換気)している。

これによって動脈血中の酸素と二酸化炭素の濃度やpHは、一定に保たれている。

(参考)過呼吸~過換気症候群に関して
この酸素と二酸化炭素の平衡状態が発作的な過換気により崩れると、
動脈中の二酸化炭素は洗い出されて、
二酸化炭素濃度(二酸化炭素分圧)が低下し、
逆に酸素濃度(酸素分圧)は正常より上昇する。

この結果、血液中のpHが上昇し、体はアルカリ側に傾く(呼吸性アルカローシス)。
これに伴い血液中のカリウム(K)濃度やカルシウム(Ca)濃度は低下する。
これらの変化の中でも二酸化炭素分圧の低下は脳血管の過剰な収縮をきたし、
意識レベルの低下や失神・けいれん等を引き起こす。

○二酸化炭素は血中に溶けますが、PHでは酸性を示します。

○酸素は血中に溶けないので、血中PHに直接的な影響はありません。

○呼吸の量が多くなると、酸素を吸い込む量が増える一方で、
二酸化炭素の排出が多くなるなどして二酸化炭素量が減ります。
すると、血中 PHはアルカリ性に傾こうとします。
人の体はPH7,365の弱アルカリ性ですので、
それよりも数字が小さくなっても、大きくなっても
元に戻す働きがあります(ホメオスタシス)。

○酸素とヘモグロビン(赤血球)は結びついていますが、そこで切り離しが行われないと細胞に酸素が届きません。
その時二酸化炭素の量が多いほど、酸素の切り離しが行われやすくなります(ボーア効果)。
多くの人の血中の酸素飽和度は95~98%ありますが、
呼吸の量が多すぎの人では適正な二酸化炭素の量がないため、
酸素があるにもかかわらず細胞に酸素が届けられていない状況があります。

なぜ、呼吸の量が多くなるのか?
口呼吸をしているは一つ考えられるポイントですが、いくつかの原因があります。

また、呼吸過多により、自律神経の問題、肩こり、免疫低下、精神状態の変化など様々な体調不良が起きやすくなります。

つづく・・

カルテを読み返してみると・・

世の中は、電子カルテの時代です。

しかし私は、いまだ手書きをしています。


直近7年のカルテの中で、水色区画の82枚のカルテがあります。

これには 「難症例」とラベルを付けてます。

自分にとって鑑別~施術がとても難しく改善されなかった症例です。

具体的には、5回以上来ていただいたが改善度合いが3割未満だったケースです。


いま見返しても、その人の顔やどういったやり取りをしたか手に取るように思い出されます。

でも数年たった今、改善できるのじゃないかと思える症例も結構あります。

・このケースは、中枢神経系からアプローチすればよくなるんじゃないのか

・この場合呼吸の問題をうまく処理できていない

・この方はトラウマ

・彼女は歯科に紹介すべきだった

・彼はボディーではなく、この栄養素の問題

短期的なビジネスのオプションとしては、どのような症状でも対応しようという八方美人的な方針は嫌われるでしょう。

うまくビジネスをやる人は自分の守備範囲を狭めに決めて、そこに全力を注ぐもの。

でも、そうしない人もいる。

その違いを考えると、その人自身の持っているキャパや克服すべき課題の量や質に起因していそうに思う。

私のまわりの先生を見渡しても、ゴッドハンドになろうとかいう事ではなくて、むしろこれは勉強していて当たり前、これは勉強すべき!という感じで自然にいろいろと勉強しておられる。

どっちがいいとかでもなくて、その人の持っている力を出しきればよい。

あとは、そこに引き付けられるべきクライアントが自然と引き付けられるのだろうと思います。
プロフィール

栃谷英樹

Author:栃谷英樹
S48年、奈良県生まれ、しん研良院院長(カイロプラクティックなどの手技療法を行う)

・高校時代…1日5時間勉強の受験漬け⇒自律神経失調症、十二指腸炎
・大学時代…体育会系のクラブとバイト・徹麻⇒慢性の胃痛、喉頭炎
・社会人時代(2年)…長時間労働と麻雀⇒胃痛、不眠症
・自営業と競技麻雀プロ(5年)時代⇒胃痛、肩こり・腰痛、初期肺気腫
・30歳にして自分の健康状態の悪化により競技麻雀プロをやめ、自分の健康を取り戻すべくカイロプラクティックなど代替医療の道へ
・30代…香芝市でカイロ院(しん研良院)開業
・40代…スーパー施術家になるべく臨床、研鑽に日々励んでいます。
・これから…自由自在に人の身体を観て施術できる優秀な手技療法家を目指します

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